当会での八卦掌の練習


 「八卦掌とはいかなる武術か」をご覧頂くと、吉田代表が特殊な形で八卦掌を学んだことがわかると思います。それは、吉田代表が外国人という制約があったことも一つの原因でもあり、様々な制約の中でカリキュラムが組まれたもので、順序も前後して教えられたそうです。
 吉田代表の老師は中国でも著名な某武術家の関門弟子の最後の弟子(閉門生)だと言っていました。その時代の練習は極めて厳しかったとのことです。ただ、吉田代表は全く、老師が自ら学んだとおりに練習させられたわけではありません。
 吉田代表は習ったものを、自分なりに整理して、大まかな練習の流れを再構成しています。
 八卦掌は、易の教えに基づいて技が作られているとして、易の順序に相応して練習をしてゆくことが多いです。しかし、ただ、それは、易(やさしい)から難へとの練習の一般法則にすぎないのであって、無理に易と結びつける必要はないとのことです。八歩で円を描くとのきまりもないとのことです。



1 站粧・・・いわゆる八卦粧と呼ばれる粧法。本来、時間をかけてこれだけ練ると言われる。吉田代表の老師もこれを長いことやらされたと言う。重りなども使用する。吉田代表の老師の老師は重りのかわりに子供をぶら下げていたとのことである。動かないので太極とされたりする。


2 定八掌・・・基本の歩く練習。伝統的練習では、これだけを3年近く練習する。左右の方向がでるので、陰陽とされることもある。

3 八母掌・・・八卦掌の核となる套路。練習は基本的にこれが中心となる。

4 三才式・・・天地人に見立てた套路で八卦掌の勁力を練ってゆく。

5 八盤掌(五行式)・・・実戦的な手技を学ぶ。六合を目指し、敵を倒す力を養成する。

6 新八掌・・・様々な動きを組み合わせて複雑にした套路、表演でよく見るような円を描く套路。派によっては八大掌と言ったりする。

7 武器術・・・武器は手の延長であり、武器専用の套路もあるが、基本的に掌法の套路をそのまま、武器術に転用することも可能である。

8 活架子(連環掌)・・・これまで、習った動きを組み合わせてなめらかに変化させて行う練習。歩法も自由になる。一応、形はあるが、本来は個人個人ごとに変化をする。演舞会用には動作を派手にする。

9 九宮掌・・・身体の敏捷性をあげるための練習方法、映画などでは良く見る練習であるが、実際に本当にできる人は少ない。杭の数は九つであるが、三つの杭を使用する派もある。杭の上を歩くなどの練習方法もある。


10 応用(変架子)・・・套路を捨てる段階。三穿掌、遊身撞掌、混元抖などを指導原理とする八卦掌の完成の段階。型は消滅する。この段階に至って八卦掌は真に実戦的になる。


基本的には1からスタートして、10を目指すのが八卦掌のカリキュラムとされており、それを基本として当会では練習をしてゆきます。なお、吉田代表はこういう順番で八卦掌を習ったのではないそうですが、易から難へと練習方法を並べなおすとするとこうなるだろうと言うことです。八卦掌は基本の動きが様々に組み合わさって複雑になってゆくので、結局どれも関連しており、練習の順序を入れ替えても実はほとんど問題がありません。そういう意味で八卦の易と似ているとも言えるでしょう。

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